兄弟の確執

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  ジョージはその無礼なことをした執事の目をにらんだ。 「オーガン?」  オーガンは紫紺の瞳を細め、こう言った。 「フィリップ殿下。ジョージ殿下がヴァイオリンの練習の時間ですので、これにて失礼します」  そう言って、頭を下げて、ひっぱる力の強さでジョージを強引に連れていった。 「オーガン! 何事なんだ? フィリップに失礼じゃないか」  オーガンは声が聞こえなくなる場所までやってくると、 「――んっ」 オーガンがジョージの肩を掴んで、がん、とその背中を壁にぶつけた。 (痛い……)  それに吐息がかかってその誠実な紫紺の目で見られると、女ならどぎまぎしてしまうのあだろうが、あいにくジョージは男なので腹が立つだけだった。
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