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「あいつは意地になってただけだ。男の紗葉良に負けたくねーってな。今頃拍子抜けしてんのかもな」
「じゃあお前は……」
それ以上口にしては駄目だと自制心が働いた。
言葉にしたら取り返しがつかなくなりそうで斗貴央は恐ろしかった。
──お前は、紗葉良のことを……
すでに龍弥には斗貴央の心が聞こえてしまったのか、先にその場を終わらせたのは龍弥だった。
「じゃあな」
斗貴央は「ああ」と小さく返しただけで暫く動けずに遠くなって行くその背中を見送った。
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