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いつものように眠った彼女の身体を支え、慣れた手つきで迎えを呼ぶ。
数分後、商バンに乗って現れた彼に向かって、
「〇〇さん、今日は俺も乗っけてって、この雪じゃ帰れない。」
そう告げるが
「無理だよ。乗れない。」
散らかりまくった車内を見つめそんな事を宣うもんだから
「うるせー、全部捨てっぞ」
と脅しながら彼女を後ろに寝かせる。
了承は取れてないから、とりあえず車を降りようとしたら、降りてもないのに出発!
半身が外に出たまま走り出した車。
そして訪れる衝撃…
『目を覚ますとそこは真っ白な世界』だった。
とは言ってもライトノベルに良くある転生物語とかではないのは直ぐに分かった。
そりゃそうだ。
テンプレな流れじゃなかったし、人の声もする。
テレビでしか聞いたことはないけど、聞いたことのある規則的な電子音…
それによく見たら、視界の端に点滴が見えた。
今自分が居るのが病院だと気付くには十分な情報がそろっている。
おそるおそる身体を動かしてみる。
手足は動くが左の脇腹が異様に痛い。
あと寝かせられてるベッドも狭い。
「気がついた?ストレッチャーは狭いし、あんまり激しく動くと柵が倒れて落ちるかも知れないからじっとしてて。そもそも動くと痛いでしょ。」
と女の人の声がする。
そちらを見ると白衣の天使が居た。
「先生呼んでくるから、じっとしておくのよ。」
と言って、白衣の天使は去って行った。
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