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☆
まず、リノリウムが出てくる。なんとなく、リノリウムって言っとけばオーケーな気がする。
あたしは床を指さす。
「リノリウム!」
そう、朝だった。登校してきたあたしはとにかく描写しなきゃって思った。
「傷だらけのリノリウムの床は朝の、クッ……できない!」
無理だった。
「おはよう!」
ヒザが隠れしスカートをまといてあたしは教室に入る。ほうぼうから挨拶が返ってくる。さすがあたしだった!
カビまみれの書道セットの臭いがどこからか漂ってきた。自分の席、机の天板に鞄の中身をぶちまけると、空になったそれをロッカーにしまう。
席に戻って、ぐちゃぐちゃの教科書やノートをまとめて机に押し込んだ。
入らない。机のなかに手を突っ込むと、プリントのかたまりを発掘した。でかい耳くそが取れた気分でそれを教室のゴミ箱に押しこんで、もういちど教科書類をつっこもうとするとグンニャリといやな感触があって、手で探るとカビまみれのそれはおそらくコッペパンだった。
ゴミ箱に叩き込む。すでに首が取れた日本人形とかどっかの家の表札とかが捨てられていたそこは、コッペパンだったものが入りさらにカオスさを増した。
ようようスペースを確保して教科書類をしまったとき、担任のデブが失敗したマトリョーシカみたいな身体を揺らしながら入ってきた。
オカマのヒキガエルみたいな声が響く。
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