えも×こん

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 ☆  先輩は将棋の最中にササッとポケットから出したチェスのナイトで王手(チェック)をかけているみたいな人だった。  そう、かっこいいんだよ! 「愛美ー、で、いつまで続くのその話」  トモダチの五鬼熊まゐ(ごきくま〃)が給食のまだ溶けていないプリンを真っ先に食べながら言った。 「始めたばっかじゃん! いただきますって言って、プリンから食べる人なんて、まゐくらいしか知らないよ、あたし」 「ごはんも甘いっしょ。プリンも甘いっしょ。一緒っしょ」 「違うよ! って、先輩の話だよ! 作戦会議なんだよ? まじめにしてよ」 「わっちはふざけたことなんて一度もないでありんす」 「ならよし! で、先輩を笑顔にしたいんだ、どうしよう?」  フクロウっぽい雰囲気のまゐはやっぱり賢いようで、あたしの漠然とした質問にもまったく考えるそぶりもなかった。 「そんなの簡単、先輩の前で笑えばいいんだ。あんたが笑えば先輩も笑う。先輩が笑えばあんたはもっと笑う。――どんな笑いかたにするか、だけど、おすすめは照れ笑いだね。先輩の前でちょっとドジ踏んで、照れ隠しに笑うんだ。舌を出すのを忘れるなよ。これで先輩を一網打尽よ」
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