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『イケてるイケてる、寝ぼけててシナプスで配線ミスってたけど直ったわ』
『ぐらっちぇ!!』
いざ、出陣!
☆
暖かな日差しが柔らかく降りそそぐ。
百貨店や雑居ビル、マンションが立ち並んで、ここはまるで乳歯と永久歯が交ざった子供の口のなかみたいだった。
古い建物や新しい建物。大きな建物や小さな建物。綺麗な建物や汚い建物。分け隔てなくあたしたちの住む街は受け入れている。寛容さに敬意を覚えながらあたしは先輩を待っている。
駅の建物は古くて大きくて、でも綺麗だった。老若男女が行き交うなかで、あたしは普段着姿の先輩を見つけて、手を振った。
先輩は白いスニーカーを履いて、白いふくらはぎを露わにして、紺のワンピースの裾をはためかせながら、こちらに走ってくる。
ちっちゃな白いポーチをかけている。
黒髪をツインテールにしていた。大げさなリボンがかわいい。ぱっつんの前髪がかわいい。かわいさと凛々しさがルームシェアしている奇跡の物件がすなわち先輩である。
あたしもツインテールにしてくればよかったな、と思いながら会釈をする。
「ごめん、待ったか?」
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