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「いいえ、まだ待ち合わせ時刻前ですし、いま来たとこです」
「そうだな。行こうか」
「はい!」
手ぬぐいとウォータージャグを買いに来たはずだったのに、先輩はあたしの前をグングン進んで、ゲームセンターに入った。
プリクラを撮る。先輩の合図で表情をつくる。
「三たす三は?」
「「六~!」」
パシャッ。
「素数の十三番目は?」
「えっえっ?」
「四十三~!」
パシャッ。
「元素番号二は?」
「「ヘリウム~!」」
パシャッ。
「三千八百億二千四十万千七――」
パシャッ。
「――二十一かける〇は?」
「「〇~!」」
…………。
微妙な表情の画像がつぎつぎとできあがった。
けど、なんだかんだで超楽しかったんだっ! ちなみに素数の十三番目は四十一だった。
先輩はエアホッケーがめちゃくちゃ強かった。剣道に活かせば負けなしだと思う!
先輩は背が高くて凛々しいからかどうしても周囲の視線を集めがちだ。
連れだって歩けるのが、嬉しくて恥ずかしくて誇らしくて、つい歩調がゆるやかになってしまう。たとえ剣道が弱くても自慢の先輩なのに変わりはないんだよ!
あたしはもういちどプリクラを撮ろうと誘った。声を揃えるのが面白いから、今度はあたしが合図を出そうとする。
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