破落戸(ごろつき)~新side15

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さすが腐っても鯛ならぬ元新撰組隊士、一連の所作がよどみなく殺気と凄味もハンパない……って、食レポ風味で感心してる場合じゃない!これまでの流れで一番マジで死にそうな気するもん!! 「俺としたことがどうやら貴様を見損ねていたようだ。つい同情して色々喋らされてしまったがこのまま新撰組に帰られても何かと面倒だしな」 (いや、勝手にぶっちゃけたのそっちじゃないか!) 「わわわ!わかりましたっ!言うとおりにしますっ!!」 「よし。ならば山を下りる。行くぞ」 な、……なんか変なことになっちゃったなあ……まあいいや。助かってから考えよう。 夜明け前らしく真っ暗闇だった外は物の輪郭が見える程度の柔らかい闇に変わっていた。それでも山道だし俺はまだ手探りだが岡田さんにはだいぶ見えているようだ。岡田さんが小屋の中で燃え尽きたろうそくの溶けかすを固めて芯を差し込んだのを棒の先につけて俺に貸してくれたので松明代わりにかざしている。頭いいし意外と親切? 「俺から離れるな。少し遠回りになるが、尾根を越えて別な村に抜ける。その方が追っ手を巻きやすい」 「はい。あのう、岡田さん」 「何だ」 「啓之助……本当に大丈夫でしょうか?ひどい目に遭わされたりしませんか?」
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