幕末おうちごはん～そっと……三杯目

啓之助も危機一髪！？

確かに啓之助は上から目線の面倒臭い勘違い野郎だが、少なくとも福井だか鯖江だかまでは三人で一緒に行動できていたはずだ。京を目前にしていきなり匙投げたりするもんかなぁ……新がケンカ別れするならわかるけど、ドＳの変人キラー・一楽さんがすんなり啓之助を放り出すとは思えない。

新の話をしたがらないところを見ると、道中で何かがあったのは確かなんだろう。

「どうした？愚痴なら聞いてやるからあまり腹を立てるな」
「そうじゃなくて……一楽さん、一度は近藤さんと山本先生に啓之助のことを請け負ったんですよ。
啓之助が勝手にブチ切れて逃げ出したのかもしれないし、子どもを預かった訳じゃないからそこまで責任ないのかもしれないけど……それでも探すなり連れ戻すなりしそうなもんだと思うんですよ。
その上、あの二人に謝るとか説明することもせずに江戸に向かいますか？もしどうしてもやむを得ない事情があったとしても普通は文を書くとかしませんか？」

一楽さん、一見自由人に見えるけどそういうとこはきちんとしてる人だと思うんだよね。