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何でも話せた新は旅から一向に帰って来ないし、代わりに唯一心の支えだったいちさんにも失恋した。少なくとも今までのようにはもう会えない。
いつだって理不尽はさらなる理不尽を連れてやって来るものだけど。
そんな理不尽に押し潰されそうになった自分をひょっこり救ってくれる何かもまた、理屈じゃなかったりするわけで。
状況がいい方に変わったとか、解決法が見つかった訳ではない。それに無力無能のオレだから今後も相変わらず問題だけが増えっぱなしでずっとこのままなのかもしれないけど……
それでも今、できることはある。
少なくともオレには、オレのために一緒に頭を下げてくれる三郎さんがいる。
そしてきっと原田さんも宮川さんも幼年組のみんなもオレを心配して……不満や苦情や説教を敢えて封印してオレが立ち直るまでに見守ってくれていたに違いない。
(原田さんに関しては全くの天然対応、という疑惑が微かにあるが……そういうことにしておく・笑)
立ち直った、と言えるかどうかもわからないけど、大蛇から鶏を助けるために無我夢中だった時のように、中につっかえてオレを機能不全にしていた何かがスッと消えていく。
失くせない何かを失くして倒れても、手を差し出してくれた誰かを信じてまた前を向く。生きてくってきっと、そういうことだ。
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