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辛抱……と言われても。
俺は今、庫裏の食堂兼広間で半裸のまま横たわり、灸を据えられている――といっても、お仕置きをされているとかではない。が、ぶっちゃけ拷問レベルの辛さだ。
俺の名前は鷲崎新。
と……いうらしい。
助け出された時、記憶がすっぽり抜け落ちていた。たまたま助けてくれた人が俺のことを知っている人だった。帰る場所もわからないため、記憶が戻るまで寺の雑用係として置いてもらうことになった。
俺を助けてくれた人達は侍の集団で、俺の主な仕事はこの人達に食事を出すことと庫裏の掃除だ。
最初は敵の何かだと疑われて尋問されたりもしたし怖かった。でも今はよくしてもらっている。こうして腕がいいという医者も探して呼んでもらった……んだけど。
この先生特製のお灸をおでこや腹やその外のツボに乗っけているんだけど……やたら薬臭い上にじりじりと熱くて痛い。喉や目にヒリヒリ沁みる。それにやたら熱い。どうにか苦情を言いたいんだが、涙と鼻水は止まらないし口を開くと咳き込んでしまって意志の疎通ができない。
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