私は何処、ここは誰?~新side 15

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「はっ、はい」 「伊東さんが見込んだだけあってお前には剣の素質があるようだ。興味はないか」 「全くないわけでは……」 「稽古をつけてやろうか」 「本当ですか!お願いします」 ……あれ? 「どうした。頭を打つのが恐いか」 「では、なくて……前にもこんな事かあったような」 「何か思い出したのか?」 「いえ。林五郎先生には書き留めるようにと帳面をもらったんですが……その時の光景や出来事は思い出せないんですが、感覚というか感情みたいな。それも嬉しいとか悲しいとかって強いものじゃなくて。あんまり言葉にできないような……錯覚かもしれないし」 「なるほど」 藤堂さんのお陰で貴重な1コがすっかり飛んじゃったし。 「辛いか」 「そうでもないです。なんか……、何にも覚えてなかった時はパニクってそれこそ頭真っ白で、今もすっぽり何かが抜けてて変な感じだけど」 でも、とりあえず今は一人っきりじゃない。居場所も仕事もある。 「ぱに……何?」 「あれ?『パニクる』って?どういう意味だろう……」
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