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「私に聞かれてもな。お国言葉じゃないのか」
「そうですね」
「どこの言葉か皆目見当もつかんがな。とてつもなく遠くて辺鄙な場所かもしれん」
「そうなんですかね。でも俺、意外と幸せな奴だったんじゃないかって思うんです」
「そうなのか」
「先生は辛いことから心を守るために記憶を無くしてしまう人もいる、って言ってたけど俺は違うんじゃないかな、って。
一人ぼっちの奴かとも思ったけど、いつもこんな風に誰かが隣にいてくれたような気がします。親友……とかなのかな」
「……」
藤堂さんもこういう話になると不自然に黙り込んでしまう。元いた隊では役付きで部下もいたらしいから俺と接点がなくても不思議じゃないけど……本当に俺のことを何も知らないから黙っているだけなのかな……
そうだ。
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