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「そんなに嫌ならお店かえたらいいじゃない。 明日も来るかもしれないわよ?」
「……でも、私あのお店が好きなんです」
そう即答した私にユリさんは一瞬不思議そうな顔をした後、そっか、と頷いた。
入社してから今日まで。私はほぼ毎日あのお店に通っている。
今にも潰れてしまいそうなくらい古いお店だけど、今時なランチなんてないけど、懐かしい香りのするあの店が、おばちゃんがいるあのお店が好きなんだ。
「 明日行ったら、あんたの職業AV女優ね、きっと」
「そんなこと言わないでくださいよー!」
「ま、それもおもしろいか」
「全然面白くないです!」
半泣きでそう叫ぶ私を無視してユリさんは楽しげに笑っている。もう、明日から行きづらいじゃないか。それもこれも九条さんのせい。
九条さんのバカやろー!
「私も今度行ってみようかな~」
ひとしきり笑い終えたユリさんが、マグカップの中に視線を落としたままポツリと言う。
「そうですよー。ユリさんたまにはお昼ご飯食べなきゃ」
「でもねぇ、太っちゃうし。私すぐ顔に付くタイプなの」
「十分痩せてますって」
「でた。この世で一番信じられない女の台詞」
そう言ってクスクス笑うユリさんは、一日一食しか食べない主義。それはもう10代のころからだとか。もちろんその理由は太りたくないから。
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