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私が鬼と称する九条さんは、ここのプロデューサー的存在。
ゲームの立ち上げから売り上げまで全てに関わり、人、物、金を管理している。社長より権限があるとかないとか。
以前うちがリリースしたイケメン騎士と七人の姫、というアプリが異例のヒットとなったが、そのアイデアをだしたのも、統括したのも全部九条さんだ。
仕事はかなり出来る男。だけど私はあの人が入社当初から怖かった。
あの冷たい目。人を寄せ付けない、それでいて見透かすようなあの黒い瞳。それに加えあの低い声ときたもんだから、私は怒鳴られるたびに怯えている。
ううん、目が合うだけで心臓がこれでもかというくらい跳ね上がってしまう。
「なに見たんだよ、西沢。できたのか?」
「……っ!!」
迂闊にも目が合ってしまい、慌てた私は跳び上がった瞬間、椅子から転げ落ちてしまった。
たがそれでもあの鋭い視線から解放されず、私は這い上がりながらまだです!と叫んだ。
あぁ、こんな自分にもうんざりだ。それもこれもあの鬼のせい。
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