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一方曳馬城にて、
「武田信玄挙兵、駿河に向かって来ております。その数3万ほどかと」
斥候の報告に、城内は浮き足立った
「黙りなさい。乗連殿、例の者を」
「あれを出すので御座いますか」
お雪の側に控えていた飯尾乗連が言う
「良いのです。曳馬城は現在1500程しか居ませんので、あれを使った方が犠牲が少ないのよ」
「はっ!直ちに用意致す」
そう言うと飯尾乗連は、兵を数人連れて去っていった
「さてと、あなたは武田信玄がどの道を通って来るか見てきて頂戴」
「はっ!」
斥候も去っていった
「ふぅ・・流石武田信玄ね。油断も隙もあったものじゃないわ」
お雪がため息を吐いていると、
「大御所様」
「どうしたの?信勝殿」
安倍信勝が声をかけてきた
「我が安倍家と武田家臣真田家とは昵懇の間柄、某は真田家を寝返らせたいと存じます」
「・・・成功する確率は?」
「半々かと」
「じゃあダメ」
安倍信勝は、真田家攻略に自信があった
しかしお雪は、現時点で兵を失わせたくはなかったのだ
「何卒!大御所様、何卒!」
安倍信勝は、必死に頭を下げた
「・・・・」
「大御所様!」
「はぁ・・分かったわよ。ただし!コレを持って行きなさい」
お雪はそう言うと、小さな錠剤を出した
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