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今のうちに電源を切っておこうと携帯を取り出した私は、保存していた未送信メールを呼び出して眺めた。
普段は皆川さんからのメールに私が応じ、彼の部屋を訪ねるというパターンだけれど、今日は私から誘ってみようかと迷いつつ書いたメールだ。
男性を誘ったことがほとんどないので、たった数行なのに何度も言葉を選び直し、かなりの時間がかかってしまった。
会場で彼の顔を見てから送るか決めようと思っていたけれど、華やいだ街並にそそられたせいか、削除するのが惜しくなってきた。
長らく彼氏はいないし、クリスマスの時期にいちゃついた記憶がない。
一度でいいから、あの雰囲気の中を二人で歩いてみたくなった。
しばらくメールとにらめっこしているうち、開始五分前になった。
まだ彼は現れない。
別に気負わなくていいじゃない。
今日は珍しい直帰の日で、しかも彼の会社にいるんだから、たまには外で会いませんかという気軽なお誘いだ。
ええい!と送信ボタンを押してから、結果を知るのが怖いのもあってすぐに携帯の電源を切り、バッグにしまいこんだ。
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