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皆川さんと会えないまま突入した翌週は、もう年の瀬も押し迫るクリスマスの週だった。
会えなかったのは、私が原因でもある。
あの日、皆川さんからの返事は私が帰宅してから届いた。
時刻はすでに八時近くになっていて、もちろん内容は「ノー」。
その日は都合が悪いこと、翌週の木曜ならば時間が取れることが簡潔に書かれた、短いメールだ。
けれど、その“翌週の木曜”は、延び延びになってようやく決まった茉由子の食事会の、まさにその日だったのだ。
恋と友情、どちらを取るか。
もちろん友情を取るべきだろう。
ここで皆川氏を選ぶなんて最低だ。
それに、そもそも私は恋をしている訳ではない。
そう自分に言い聞かせた私は、彼からの代替案を断ってしまった。
正直かなり未練があったけれど、結局彼から返事はなく、それっきりだ。
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