ざわめく心ー1

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茉由子たちとの食事会は日が定まらないまま、十二月も半ばになった。 堀内さんは、あれからトイレにやって来ていない。 やはり「人事関係者」の脅しが効いたのかもしれないと考え、ようやく私は自分の住処である五階フロアを安心して歩けるようになっていた。 皆川さんとは、あれから二度会っている。 いずれも平日の夜、仕事の帰りに私が彼の部屋に立ち寄る形だ。 東条主任たちについた嘘の通り、お互いに帰りが遅いので、それが便利で自然だった。 ただし「練習台」らしきことは、キスから進展していない。 一緒に食事をして、雑談をして、それから彼に家まで送り届けてもらう。 普通のカップルの健全なお付き合いといった感じだ。
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