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「年末にずれ込んだのは、内山さんが社内公募の選考で余計に忙しかったかららしいんだよね。本人が秘密にしてたみたいで、迫田も最近まで知らなかったらしい」
「社内公募ってことは出世?いいじゃん」
「それが広島の新拠点立ち上げの責任者の選考らしくて、迫田は落ちて欲しいって言ってた。私も行って欲しくないよ」
「広島かぁ。でもいいじゃん。遠恋になったらお好み焼き食べられるし」
「ナツはほんと呑気だよ」
茉由子が呆れたように笑った。
「ただでさえ女に対してガードが固いのに、遠恋前提だったら余計にハードル上がるじゃん」
「なんか、どんな格好いい人なのか急に楽しみになってきた」
「ナツは惚れちゃダメだからね」
「そう言われると余計に」
「ダメダメ!迫田にして」
イケメンを目の保養にして、今日は皆川さんのことは忘れて楽しく過ごそう。
少しぐらい飲んでもバレないし。
それなりに気分も浮き立ってきて、目的の駅に着く頃には皆川さんと会えない鬱々は薄れていた。
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