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観念してスタンバイする。
堀内さんみたいにキラキラした上目遣いで見つめるとかだろうか?
「……」
皆川さんを見つめて目をパチパチさせたけれど、彼はなかなか反応を見せない。
これでは足りないのかとさらに私が口を半開きにしたところで、彼の頬が震えたかと思うと盛大に吹き出した。
「やだもう!」
そこでようやくからかわれていたと気づき、恥ずかしいやら悔しいやらで彼を叩こうとして手を振り上げ飛び込んでいった。
「隙なんて作れたら、苦労してないし!」
「個人的には好きですよ、今の」
「もうしません!」
皆川さんは大笑いしながら私の振り上げた手首を掴んだ。
そのまま抱き寄せられたかと思うと、最初の不意討ちみたいにチュッと小さくキスされた。
怒るのを忘れて途端におとなしくなった私を元通りソファーに座らせると、彼は外していた眼鏡をかけた。
空気の切り替えを感じとり、上ずった気分をなだめてうつ向いた。
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