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「意図的に隙を作るのは無理でも、完璧に振る舞おうとする意識を変えることはできるでしょう」
やはり始まったのはレクチャーだ。
「完璧って、別にそんな……」
「東条主任にいいところだけを見せようと肩肘張っているのでは?」
「……」
冷水を浴びた気分になったのは、言われた内容より、東条主任の名前を聞いたからだった。
私は東条主任とのチャンスを掴むためにここにいる。
皆川さんに指摘されなければそれを忘れてしまうほど、私は目の前の人しか見ていなかった。
「一人で頑張り通す姿勢は立派ですが、時には心を開き、弱味を見せることも必要なのでは?彼は上司でもあるんだから」
なぜだろう?
東条主任が好きで、東条主任に守ってもらいたいはずなのに、心を開き、弱味を見せられるのは目の前の人。
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