1646人が本棚に入れています
本棚に追加
それを考える度、自信のない私はいつも釘を刺された気分になり、少し落ち込んだ。
それでも、彼と過ごす時間は楽しかった。
いつしか私は彼からメールが来るのを待ち望むようになった。
そして、職場で東条主任と一緒にいる時にも、皆川さんのことを考えることが多くなっていった。
そのことは同時に私を不安な気持ちにさせた。
私が好きなのは東条主任。
本来なら食事会までで、以降は名義貸しだけで終わるはずの皆川さんとの契約を延長しただけ。
常にそう言い聞かせていなければ、自分の心が思わぬ方向へ漂っていってしまいそうで心許なかった。
だって、彼にとって私は成り行きで「練習台」になってやっている女に過ぎないのだから。
私が手を出したくなる女でないことは、会う度に据え膳を拒否されることからも明白に思えた。
最初のコメントを投稿しよう!