1542人が本棚に入れています
本棚に追加
「内山さんって女嫌いなの?もてそうなのに」
「うん、めっちゃもてるのに彼女作らないんだよ。噂によるとスゲー苦しい恋愛したみたいで、昔の彼女を忘れてないらしい。広島はたぶんそれだな。大学時代からの人だって」
「そんな前から?宿命の恋ってやつだね」
大学時代に運命の相手に巡り会う人もいるというのに、もうすぐ三十になる私のこの有り様は何だ。
「そういえばさっき、広島は自分の中で一番綺麗な場所って言ってたけど、そういうことだったんだね。一度でいいから言われてみたいよ」
「やっぱ先輩そんなこと言ってた?まずいな」
「なんで?」
「俺は行って欲しくないんだよなぁ。先輩あっちで結婚したら絶対もうこっちに戻って来てくれねーもん」
喋りながら、迫田くんは料理を取り分けようとした私を手で制止して、代わりにやってくれた。
大事にされている女の子ってこんな感じなのかなと、経験のない私は少し照れた。
最初のコメントを投稿しよう!