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「だから河北とくっついてくれたらいいなと。ずっとこっちにいて欲しいし」
「勝手だねぇ」
「あ、今の話、河北には内緒な?そんな濃い過去を聞いたら落ち込むだろ」
「オッケー、わかった」
ヒソヒソ喋りながらカクテルを舐める。
迫田くんはちょっとうるさいけど喋りやすいし、私みたいな対象外にも分け隔てなく接してくれるし、本当にいい人だ。
それからしばらくは迫田くんの漫才のようなトークで楽しませてもらった。
大声で笑うと「しっぽり」にならないので忍び笑いしかできないけれど、それでも血の巡りが良くなるらしく、酔いが回ってきたのがわかる。
「なっちゃん、ずっと彼氏いねーの?河北から聞いたけど」
「うん、いないよ」
「そりゃ意外だな。今も?」
「うん、影も形もまーったく。アハハ」
開き直って笑っていると、ふと照明が陰った。
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