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「スコーピオンあたりか」
「スコーピオン……蠍?」
普通のモードに戻っていく彼についていかなければと、まだ恍惚としている頭を必死に働かせる。
でも、会話よりキスしていたかった。
「あなたが勧められたカクテルの名前です。口当たりはいいですが、かなりきつい酒のはずですよ」
彼は苦々しげな表情を浮かべた。
「今日はもう絶対に飲まないで下さい。いや、今日だけでなく」
私をきちんと立たせながら、彼は少し厳しい声で言った。
「ちゃんと相手を選んで」
険しい顔なのに、見上げる私の身体は熱くなる。
でも彼は私の背中に手を添えて大通りの方に促した。
「戻りましょうか。寒いでしょう」
「……はい」
賑やかな大通りに出ると、路地裏で交わしたキスが夢の中の出来事のように感じられた。
それでも私の唇は焼き印を押されたように疼いている。
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