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ここに来る道中、茉由子から“何なら途中で二人で消えてもいいよ”と冗談半分に言われたけど、それは断固拒否しておいた。
迫田くんも外見は結構格好いいし、私にはもったいない人だ。
それに、相手は誰でもいいからとバーに乗り込んだのは、ついこの間のこと。
なのになぜ今は、絶対に有り得ないと思うのだろう?
“東条主任が好きだから”
それは理由にならない。
だって、皆川さんとは抵抗なくキスしているばかりか、その先のレッスンを待っている。
皆川さんを思い浮かべるだけで彼の温度や感触が蘇り、唇がうずいた。
唇にそっと指で触れる。
私がキスしたいと思うのは――。
「お!なっちゃん、ビールもうないじゃん。次どうする?俺のオススメはねー」
「や、あの、次はウーロン……」
私の思考は迫田くんにぶち切られた。
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