ざわめく心-2

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「なに?」 何かの密談かと思い、私も顔を近づけた。 すると迫田くんはさらに顔を寄せ、隣の二人に聞こえないように小声でささやいた。 「こうやってるといい感じに見えるだろ?そしたら必然的に河北が内山先輩とツーショットになるじゃん」 そう言いながら迫田くんは私の手を引っ張ってテーブルの奥に寄った。 「……にしてもちょっと近すぎない?」 「このぐらいやらないとダメなんだよ。先輩はあんま女と飲みたがらないから、こっちに入って来れない雰囲気作らなきゃ」 茉由子を見ると、チャンスだと理解したのか、熱心に内山さんに何やら喋り始めていて、内山さんも真面目な顔でうなずきながら聞いている。 なかなかいい感じだ。 「だから個室にしなかったんだよ。個室だと四人ベッタリだろ?」 「なるほど」 息の合わない会話を延々繰り広げて失敗するより、ヒソヒソやるだけの方が手軽でいい。 二人とも自分のグラスを移動させて、しっぽりと飲んでいる風に落ち着いた。
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