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「ちょっとちょっと、あれは一体どういうことよ?ゆうべ、ナツ携帯の電源切ってるしさ!」
「……」
翌日。
社員食堂で茉由子から受けた質問に、私はむっつりと黙りこんだ。
あのあと、呆然としたまま席に戻った私はうまい言い訳を思い付かず、彼氏ではないと否定しきれなかった。
「怖ぇーよ、あの男!口だけ笑って目が笑ってなかったぞ。大丈夫なのか?早く帰った方がいいんじゃね?」
迫田くんにまで設定そっちのけで帰れ帰れとせっつかれ、私は一次会で追い出されてしまった。
茉由子には申し訳なかったけれど、別段問題はなかったらしい。
食事会の当初の筋書きからは外れたものの、内山さんとのきっかけが繋がれば構わない茉由子は“迫田を慰めなきゃ”と無理矢理な目的を作って三人で二次会へと繰り出していった。
でも、できるなら私も二次会に行きたかった。
一人になりたくなかったのだ。
だって、皆川さんは香子さんと一緒にいるのに。きっと今も……。
帰りの電車で、一人ぼっちの私は泣きそうになるのを必死で我慢していた。
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