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それでも未練を断ち切れない私は、往きの電車の中で恐る恐る携帯の電源を入れてみた。
画面を見るまいとバッグに突っ込んだ手の中で、メール受信の音。
期待で躍る胸を抑えて画面を見ると、五件もメールが届いていた。
最初の三通は茉由子。
茉由子には悪いけれど、正直がっかりした。
四通目は読書メーターのメールマガジン。
ここはいつもタイミングが微妙だ。
すっかり諦め気分で五通目の発信元を見た私の心臓が、鼓動を一つ飛ばして打った。
“皆川佑人”
この世で一番かっこいい名前だと思ってしまった自分が情けないやら何やら、しばらく深呼吸する。
それから、何が書いてあっても懐柔されるもんかと決意を固めて歯を食い縛り、メールを開いた。
文面を見た私は、嬉しいのか悲しいのか、泣きたくなった。
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