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“また一月に連絡します。よいお年を”
……何、これ。
あのキスのあとで「よいお年を」って。
確かにあと数日で今年は終わるけれど、近所の挨拶じゃあるまいし、あんまりだろう。
なのに砂漠に住む私は、そこに蜃気楼を見てしまう。
“また一月に”
彼はまだ私と会うつもりでいる。
それに、香子さんといるのに私に返信してくれた。
……いや、待て。
理性をもって解釈すべきだろう。
結局、このメールの意味するところは「来年まで連絡してくるな」という牽制じゃないの?
会社の駅に着くまで、悲観的になったり楽観的になったり乱高下で苦しんだ私は、職場で東条主任の爽やかな笑顔を見てようやく慰められた。
そう、やっぱりいつも優しい東条主任を好きで正解だったんだ。
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