恋か、忠誠か-2

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さて、会話をどう始めればよいのか。 皆川さんの視線に合わせて生活臭漂う路地を仕方なく眺めていると、彼の方から喋り始めた。 「今月で僕の業務は終わります。こうしてあなたと会うのもあとわずかですね」 まだ一月になったばかりなのに、彼は締め括りのような言葉を口にした。 胸のどこかが引き絞られるように痛み始める。 “あとわずか”──でもそれなら、まだ最後じゃないよね? 結末なんて見えているのに、私はささやかな希望にしがみついた。 「今月の懇親会には出席されますか?」 「はい」 ここで私は少し笑顔になった。 一月のセミナーは懇親会を兼ね、会場をホテルに移して立食パーティーが催されることになっている。 ビジネスの場で彼の姿を見られることが、とても楽しみだった。 「料理はかなりいいものが出るはずです。酒もね」 「えっ、飲んでいいんですか?」 「ビールとワインと日本酒ですが、ちゃんぽんにせず単一で、量もほどほどにして下さい」 いつもながら、いちいち指示が細かい。 でも、私はこうして彼にずっと叱られていたかった。
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