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しばらく私の顔を見つめたあと、彼はたった一言で答えた。
「僕は人事の人間です」
彼はそれっきり何も言わない。
その答えが全てなのだろう。
でも、ここまで踏み込んでしまったら吐き出すしかなかった。
「私も被疑者だから言えないんですか?でも主任はきちんとした人です。何かあったとしても絶対に故意じゃないです。だから……」
「あなたが心配する必要はありません」
有無を言わせぬ声音でぴしゃりと遮られ、黙りこむ。
残りわずかな日々の均衡を崩してまで訴えたいのはなぜ?
企画の道で頑張ってきた同志として、意地とプライドを守りたかったから。
そして、皆川さんと私の間に、職務を越えた繋がりがあると信じたかったから──。
「冷えてきましたね」
会話終了の合図のように、彼がイグニッションスイッチを入れた。
振動とともに車が再びエンジン音と空調を吐き出し始める。
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