恋か、忠誠か-2

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しばらく私の顔を見つめたあと、彼はたった一言で答えた。 「僕は人事の人間です」 彼はそれっきり何も言わない。 その答えが全てなのだろう。 でも、ここまで踏み込んでしまったら吐き出すしかなかった。 「私も被疑者だから言えないんですか?でも主任はきちんとした人です。何かあったとしても絶対に故意じゃないです。だから……」 「あなたが心配する必要はありません」 有無を言わせぬ声音でぴしゃりと遮られ、黙りこむ。 残りわずかな日々の均衡を崩してまで訴えたいのはなぜ? 企画の道で頑張ってきた同志として、意地とプライドを守りたかったから。 そして、皆川さんと私の間に、職務を越えた繋がりがあると信じたかったから──。 「冷えてきましたね」 会話終了の合図のように、彼がイグニッションスイッチを入れた。 振動とともに車が再びエンジン音と空調を吐き出し始める。
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