恋か、忠誠か-2

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ところが、そんな暗雲が迫る予感は、夕方には脇にやられてしまった。 ついに皆川さんからメールが届いたのだ。 “明後日、来れますか?” 短いメール文の中の、これまた短いその一文を画面に穴が開くほど見つめる。 私がずっとこの言葉を待っていたことは、もう否定できなかった。 “1月に連絡します” 年末のあのメールから放置された十日あまり、私はひたすらその言葉にしがみついていた。 メール着信音が鳴る度に期待しては落胆し、しまいには社交辞令にしがみつく自分に腹を立て、忘れようと足掻いていた私には、悔しいけれど砂漠に落ちてきたそのたった一滴が嬉しくてたまらなかった。 でも、嬉しい反面、苦しかった。 大人になると、恋をするには苦しみが伴う。 現実が見えすぎて、恋を認めれば同時に失恋も悟らねばならない。 だって彼は、ある明確な目的のために私に近づき、こうしてメールしているのだから。 そして彼の性格なら、予定したシナリオ通りにすべて綺麗に片付けて去っていくのだろう。 その時限はもうすぐやってくる。
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