もう一度、あなたに逢えたらー1

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「あの、これは練習じゃありません」 私ったら、これしか言えないのだろうか。 「……」 「皆川さんの気持ちを知って、そのうえで……その……」 “抱かれたい”は恥ずかしすぎて口ごもった。 「そのうえで、何ですか?」 真っ暗だから表情は見えないけれど、絶対彼は余裕で笑っているに違いない。 わかってる癖に意地悪く聞き返してくる彼に腹を立て、ここまでくれば恥も何もないと、半ばヤケクソで叫んだ。 「抱かれたいんですっ」 プッと吹き出す音のあと、顔中に優しいキスが降ってきた。 「可愛い」 誰かに可愛いなんて言われたことはない。 まして、好きな人に。 硬直している私の襟元が開かれ、首筋を彼の唇が柔らかく撫でた。 「僕は今まで、誰かに好きだと言ったことがありません」 それは拒絶のようでいて、少し照れたような、決まりの悪そうな声だった。
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