もう一度、あなたに逢えたらー1

11/21
前へ
/21ページ
次へ
ここだ……! 壁伝いに走ると、壁と見分けがつかないぐらいに目立たない、あのドアにたどり着いた。 自分に舞い降りた奇跡を噛みしめて、しばらくドアの前で佇んだあと、私は震える手でドアを押し開けた。 三十年間、ろくな恋愛ができなかった。 でも、これが最後でいいから、もう一つだけ、私に奇跡を下さい。 今度こそ自分を守らず、立派に砕けてみせるから──。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1664人が本棚に入れています
本棚に追加