第15話 もう一度、あなたに逢えたらｰ1

もう一度、あなたに逢えたらｰ1

彼のマンションに着くとエントランスホールに駆け込み、勢いのまま何も考えずに部屋番号を押した。

誰でも玄関先まで到達できるセキュリティゼロの私の安アパートと違い、暗証番号を入力するか住人が応答してロックを外さなければ、ここから先には進めない。

おさまらない息を吐きながらしばらく待つ。

応答がないのでしばらく迷った末、もう一度部屋番号を押して呼び出してみる。

でも、何分待ってもやはり応答はなかった。

もしかして、モニターで私の顔を見て無視したとか……。

過去をよみがえらせる最悪のネガティブ思考に陥りかけて首を振った。

彼なら卑怯に逃げ回ったりしない。

強烈な嫌味でばっさり斬って捨てるだけだ。