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エントランスを出て、道路からマンションを見上げた。
彼の部屋は八階。
部屋番号と記憶している部屋の並び順からどの窓なのかを考えてみたけれど、よくわからない。
いずれにしても、不在の部屋が多そうだった。
はるか高いところにある真っ暗な窓を呆然と眺めたあと、寒さに耐えかねてエントランスに戻り、これからどうするかを考えた。
メールも電話もできないのが辛い。
消去したことを悔やんでも遅かった。
まだ会社にいるのだろうか……?
そこで私はあることに閃いて床にしゃがんでバッグを置き、名刺入れを取り出した。
かじかんだ手で名刺を繰る。
「あった……!」
まるで金鉱を掘り当てたような気分で、喜びのあまり私はしばらくその一枚を眺めていた。
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