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男性の欲望に対する畏怖と同時に、彼のものになりたいという欲情が私のコンプレックスの鎧を開かせた。
身体の力を抜き、腕を解くと、彼が私の敏感な部分に指を這わせてきた。
恥ずかしさから声が漏れる。
もう確かめる必要もないぐらい、私は彼を求めていたから。
やがてその声は懇願するような甘いものに変わった。
「奈都……」
少しかすれた、甘い声。
完全に服従し、脚を大きく開かれながら彼をみつめる。
彼にこんな表情をさせているのは私なんだと、信じられないけどそうなのだと思うと、彼への愛しさが溢れて涙がこぼれた。
最初の夜とは違う涙だった。
彼もそれをわかってくれたと思う。
「好き……皆川さん……」
私が言葉らしい言葉を口にできたのは、それが最後だった。
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