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「また逃げますか?」
彼の唇が優しく私の耳を食む。
「逃げません……。ていうか、歩けません……」
「まあ、逃げても見つけ出しますから」
満足そうな笑い声が耳元の髪を揺らした。
「歩けなければ、延泊するしかありませんね」
「え、延泊……?」
「することは限られていますが。何度も寸止めするのも限界の極致でしたから、まずはその分を」
「まずは、て」
彼は本物の鬼かもしれないと、朦朧とした頭で考える。
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