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カードキーを入り口に差し込んで明かりを点けると、私たちは落ち着きを取り戻してベッドで向かい合った。
明るい部屋だと照れてしまい、さきほどの告白が恥ずかしくなった私は小さくなってうつ向いていた。
「食事は?」
「食べました」
答えてから、何となく決まりが悪くなって上目で彼の顔をうかがった。
「その顔つきで誰と食べたのかはだいたいわかります」
「……」
そっちこそ香子さんとはどうなったんだと聞きたいところを我慢する。
「誕生日でしたね。さきほど日付が変わってしまいましたが」
「誕生日を覚えていてくれたんですか?」
「ただの社員データです」
間髪入れず彼は答えたけれど、理由は単純なそれだけではないかもしれない。
思わず私がにやけると、彼は少しむっとした顔で私の顔を抱き寄せ、自分の胸に埋めてしまった。
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