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「時間は十時まで。ただし完璧を目指してください」
「えー、完璧って言われても」
今まで完璧にできたためしがないのに。
口答えしようとした私を彼が振り返った。
光る銀縁眼鏡を見上げて首をすくめる。
「知ってます」
ほらきた、嫌味。
彼の背中に隠れてこっそり笑った。
理想は遠く、描く夢は移り変わっていく。
恋も仕事も、まだまだ道の先は見えない。
でも自分なりの何かをつかむために、今日も私は彼の背中を追いかけ、前に向かって進んでいる。
終
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