wound

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彼と彼女は野を駆け巡る。 花は咲き誇り、木々は青々と茂り、空は何処までも広く遠い。 その中心で、彼等は駆け回る。 彼女が笑うと、彼も笑う。 彼女が泣けば、彼も泣く。 やがて彼の胸の傷は開き、手に広がる血が彼にそれを気付かせる。 彼は思い出す。 世界の終わりを。 地球の怒りを。 彼の内なる愛を。 彼は笑う。 彼の中の彼女と笑う。 世界を滅ぼした神の下、彼は独りぼっちで二人きりだった。 「君が待つなら…」 「君が待つなら!」 「君が待つなら僕も待つよ!」 「君が食べるなら僕も食べる!」 「もし君が愛すなら、僕も愛す!」 「君が走るなら、僕も一緒に走るよ!」 「…僕の息が止まるまで」 了
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