0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
彼と彼女は野を駆け巡る。
花は咲き誇り、木々は青々と茂り、空は何処までも広く遠い。
その中心で、彼等は駆け回る。
彼女が笑うと、彼も笑う。
彼女が泣けば、彼も泣く。
やがて彼の胸の傷は開き、手に広がる血が彼にそれを気付かせる。
彼は思い出す。
世界の終わりを。
地球の怒りを。
彼の内なる愛を。
彼は笑う。
彼の中の彼女と笑う。
世界を滅ぼした神の下、彼は独りぼっちで二人きりだった。
「君が待つなら…」
「君が待つなら!」
「君が待つなら僕も待つよ!」
「君が食べるなら僕も食べる!」
「もし君が愛すなら、僕も愛す!」
「君が走るなら、僕も一緒に走るよ!」
「…僕の息が止まるまで」
了
最初のコメントを投稿しよう!