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「わたしたちは、この星の最後の二人。わたしは、よかったのよ。あなたに看取られて逝くのなら」
ガチガチと、巨大なハサミが、ドアを上下二つに切断する。
もうダメだ。逃げ場がない。
何度、くりかえしても、けっきょくは殺される。
わたしは絶望した。
森林伐採人が近づいてくる。
一歩。また一歩。
わたしは、ただ、見つめた。
だが、その瞬間、何が起こったのだろう?
森林伐採人の首に何かが、からまり、スパークした。
青白い火花が、とびちる。
赤い目が点滅する。
森林伐採人は、めちゃくちゃにハサミをふりまわした。
その下をかいくぐり、人間が現れた。
たくみにハサミの根元をへし折る。
わたしには、その姿が神に見えた。
オシリス……ではない。
でも、なぜか、なつかしい。
黒髪の東洋人だ。
東洋人は、ものすごい体術の持ちぬしだ。
森林伐採人に、素手で対抗している。
わたしの目の前で、森林伐採人は破壊された。
最後には、ひとつ目の頭部が、ころんと、ゆかにころがった。これまで、ソイツが多くの人間にしてきたように。
「白ウサギのピーターだな? あんたを探してた」と、彼は言う。
「あなたは?」
「おれは、イズミ・トウドウ。オシリスの部下だよ。あんたは貴重なジャンパーだ」
「ジャンパー?」
「そう。意識を他者の体のなかに飛ばすことができる」
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