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世界が、こうなる前。
わたしは、アマテラスを造りだした博士の助手だった。
人類初の系外惑星への移民。
開拓の苦労をいやしてくれた、神にも等しいエンパシストのオシリス。とつぜんのオシリスの死。代用としてのアマテラスの開発。
月からは、四年後にオシリスのクローンが送られて来るはずだった。
四年後に自分が不要になると知ったアマテラスの暴走。
そして、記憶のシャッフルーー
そういった一連の流れが、わたしの脳裏をかけめぐる。
誰かが止めなければ。
やがては、この惑星から一人も人間がいなくなってしまう。そうなる前に、誰かがアマテラスを止めなければならない。
昨日までのわたしなら、こんなことは考えなかった。
わたしは研究者だ。つねに冷徹な性格である。
ただ、小心ではあった。
死は恐ろしい。ムチャをして死にたくない。ずっと、そう思っていたのだが、死体のなかにでも再生できると、わかれば。
とりあえず、わたしの知識を何かに残さなければならない。シャッフルされている以上、アマテラスのいる場所へ、たどりつくことはできない。
わたしの知識をできるだけ多くの人に広め、いつか、誰かに止めてもらうしかない。
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