月光のガルー

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砂漠手前の岩山。 淡い金の短髪に金の瞳、褐色の肌をしたガルーは、あっさりと水を飲み干した若者を、崖っぷちの命だと自覚させるべく、脅しつけた。 「ひと思いに死なせてほしいか、ドライアップまで今少し永らえるか、選べ」 ポカンと見上げてくる若者に抜き放ったダガーを突きつけながら、ガルーは天を仰ぐ。眩しい黄金が斜めから灼熱をそそいでいる。 日没まではまだ間があった。だが、蛇トカゲの現れる夕刻が迫っている。 (このやかましいのを連れて、日没までに岩山を越えられるか?) ガルーが鋭い瞳をふたたび若者に向けるのと、若者が「あっつ! 尻、あつっ!」と叫んで尻をはたきながらダガーに顔を突っ込んでくるのとが、同時だった。 シュッとダガーの刃先が若者の頬をかすめる。 「イッ・・・・・?!」 反射でぐいと頬をこすった若者の手の甲に、滲み出た血がついた。 「おわっ?!」 目をまるくして自分の血を見る若者を、ガルーはイラッときて思わず本気でどついた。 ゴッ。 逞しくぶ厚い拳が若者の脳天を打ちすえて、地に沈める。 「うがっ・・・いっっってぇ!!」     
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