5人が本棚に入れています
本棚に追加
砂漠手前の岩山。
淡い金の短髪に金の瞳、褐色の肌をしたガルーは、あっさりと水を飲み干した若者を、崖っぷちの命だと自覚させるべく、脅しつけた。
「ひと思いに死なせてほしいか、ドライアップまで今少し永らえるか、選べ」
ポカンと見上げてくる若者に抜き放ったダガーを突きつけながら、ガルーは天を仰ぐ。眩しい黄金が斜めから灼熱をそそいでいる。
日没まではまだ間があった。だが、蛇トカゲの現れる夕刻が迫っている。
(このやかましいのを連れて、日没までに岩山を越えられるか?)
ガルーが鋭い瞳をふたたび若者に向けるのと、若者が「あっつ! 尻、あつっ!」と叫んで尻をはたきながらダガーに顔を突っ込んでくるのとが、同時だった。
シュッとダガーの刃先が若者の頬をかすめる。
「イッ・・・・・?!」
反射でぐいと頬をこすった若者の手の甲に、滲み出た血がついた。
「おわっ?!」
目をまるくして自分の血を見る若者を、ガルーはイラッときて思わず本気でどついた。
ゴッ。
逞しくぶ厚い拳が若者の脳天を打ちすえて、地に沈める。
「うがっ・・・いっっってぇ!!」
最初のコメントを投稿しよう!