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滲み、ぼやける視界。
俺は妻の体を思い切り突き飛ばした。
バランスを崩し、背後にあったキッチンカウンターに雪崩れ込むようにぶつかる妻。
その衝撃でグラスや食器が次々に床へと落下し、派手な音を立てて割れていく。
妻は仰向けで破片が散らばる床へと崩れ落ちた。
醜くもがき、聞いたこともない低い声で呻きながら起き上がる。
「ああ・・・・・・」
露出した腕や脚にガラス片が突き刺さった痛々しい姿。
髪の毛を振り乱し、再び襲い来るその前に。
俺は・・・・・・。
「許してくれ・・・・・・!!ジュリア・・・・・・ーー」
バァン!と乾いた音が数発、鼓膜を震わせた。
直視出来なかった。
顔を背け、引き金を引く。
何度も。
何度も。
やがて、ドサリ・・・・・・と、意識無い者が倒れる音がした。
俺は、妻を・・・・・・
妻であったものを殺した。
背を伝う生温かい感触。
噛まれた傷口が脈を打ち、熱を帯びたように痛む。
俺も感染者だ。
エミリオ・・・・・・!
愛する息子を振り返る。
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