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2、彼女と不倫 2017年4月21日 11時
病院ってのは静かだ。一応神戸の中心地に立つこの病院だが、俗世とは隔離された雰囲気を感じる。だがしかし、病室の窓から差し込む日差しは眩しすぎて目眩がしそうだ。
「来宮先生?大丈夫ですか?」
「あ、ええ。大丈夫ですよ」
医者が患者に心配されるようでは世も末だ。俺の目をじっと見つめてくるのは、白野礼子という女性患者。ピアニストだそうだ。あいにく、俺は音楽には疎くて知らなかったのだけれども。若いが、末期のすい臓がんだ。ここに来たときには既に手の施しようが無かった。
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