2、彼女と不倫 2017年4月21日 11時

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「来宮、白野さんどうなの?」 「ああ。まあ、厳しい状況なのは変わらない」 「うん。厳しいね」 「それもだし、違う問題も出てきたから」 「そうなの?」 「まあ。そっちはどうにかするつもりなんだけど・・・」 そうなの、と言って神坂は再び飯を食べ始めた。次は池橋が口を開いた。 「二人は見たの?あのメール」 「ああ」 あのメール。今朝、スタッフのパソコンに一斉送信されていたメールのことだ。 「池橋、お前あれ事実だと思ってるのか?」 「ん?本当だったら面白いよね」 この病院のスタッフとしては、とんでも無いことを言い出す。 「まさか。デマでしょ。」 神坂は持ち前のポジティブ精神でデマと信じているらしい。あのメールの内容、それは。「産婦人科部長は不倫している。」の文章と、その最中の写真。あいにく、女性の顔は写っていなかったが。 「なんで今、出回ったんだろう」 「来宮は本当だと思ってるんだ」 「いや、ていうか」 メールのせいで、既に部長のスタッフからの信頼は地に落ちていた。 「そんなに気になるなら、調べてみれば」 池橋は平然と言う。 「無理だろ。そんな能力も時間もない」 「いるだろ。俺達には頼める奴が」 「ああ。そうだね。坂原に頼めばいいじゃない」 坂原・・・。坂原は先ほど紹介した「塩顔4」のもう一人で。あいつの本職は探偵だ。 「お前ら・・・。坂原って今何してんの?」 「さあな。暇してるんじゃないか?」 だったら。正直俺は部長の不倫より先に頼みたいことがある。彼女には時間が無い。 「ま。不倫なんて結局部長のプライベートだし、俺はそんなに興味ないけど。不倫してても仕事してくれればそれでよくないか?」  池橋が極論の持論を述べる。 「まあねえ。患者さんには関係ないしね。・・・あ、もうこんな時間だ。僕先に行くね。」 神坂はそう言って医局に戻っていった。 「・・血液内科は本当に忙しそうだな」 「部長が吉沢先生で、研修医まで付けられてたらそりゃそうだろうな。とか言ってる俺も今日は忙しいんだった。そろそろ行くわ。あんまり気になるならマジであいつに頼んじゃえよ。」 「簡単に言うなよ。調べてガチだったらどうするんだよ」 「そん時はそん時でしょ。じゃあな」 池橋はひらひらと手を振って去っていた。俺は冷めきった飯をとりあえずかき込んだ。
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