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5、 池橋の外来 2017年4月22日 11時
池橋は午前診最後の患者を呼び込んだ。
「ずいぶん久しぶりだね」
「・・・」
池橋は患者に渡された喘息日記を見る。
「診察来ないで、調子よかったの?調子いいのは薬でコントロールしてるからだよっていつも言ってるよね。どうして微妙に調子悪くなってから来るかな」
池橋は患者に迫るようにまくしたてる。するとずっと黙っていた患者は耐えられなくなって少々息切れしながら口を開く。
「うるさいな。忙しかったの!」
「不良患者の言い分だな。」
「むむむむ・・」
「楓ちゃん、吸入と点滴用意して」
「はーい。・・って、患者さんの前では鈴原でお願いします」
楓ちゃんこと鈴原楓は呼吸器内科の看護師で池橋の相棒みたいな人だ。
「点滴したら時間かかるじゃん・・いいよ」
「いいかどうかはりっちゃんじゃなくて俺が決めるの。逆に、点滴してる間ぐらい大人しくしときなさい」
池橋と凛久が言い争っているところに鈴原が現れて凛久を手招く。
「りっちゃん。準備出来たよ。こっちおいで!」
「・・・む」
「しばらくしたら様子見に行くから」
「来なくていいよ!」
凛久は池橋を睨みながらも素直に楓の元へ。池橋はそんな凛久を涼しい笑顔で見送り看護助手に声をかけた。
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